テーマ:読書

無神論的実存主義のサルトル

【ジャン・ポール・サルトル】1905~1980年。フランスの文学者・哲学者。第二次大戦中、対独抵抗運動に参加。戦後、実存主義を唱道、雑誌「現代」を主宰、のち一時期共産主義思想に近づき、毛沢東などにも同感をしめした。晩年は連帯の理論を説く。小説に「嘔吐」「自由への道」、戯曲に「蠅」「アルトナの幽閉者」、論著に「存在と無」「弁証法的理性批判…

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実存哲学する…(第一部 キェルケゴールとニーチェ) 

「♪~ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか…、ニ、ニ、ニーチェかサルトルか…、みーんな、悩んで大きくなったぁー!」って歌があった。1970年代にお酒のテレビ・コマーシャルで、作家の野坂昭如がおどけて唄っていた。そして平成の現在、インターネットをあちこちサーフィンしていると、「リアル」とか「リア充」なんて言葉によく出合わす。そこで実存主義哲学に…

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キジも鳴かずばと、人の春

   日本の寒村に伝わるお話。貧しい村では村人は食事にヒエやアワを食べている。ある家に女の子がいて、最近元気がない。その父は、女の子のために庄屋の家に年貢のために村人が蓄えている白米や小豆のあるのを知り、それを少しずつ、かすめ盗み取り、女の子に赤飯にして与えていた。春の近い頃、元気になった女の子は手毬をつきながら、白いまんまを食べた、…

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さんま苦いか塩(しよ)つぱいか

秋刀魚(さんま)の歌 あはれ 秋風よ 情(こころ)あらば傳へてよ ――男ありて 今日の夕餉に ひとり さんまを食(くら)ひて 思ひにふける と。 … … 略 … … さんま、さんま、 さんま苦いか塩(しよ)つぱいか。 そが上に熱き涙をしたたらせて さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。 あはれ…

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男の純潔、牧文四郎

「蝉しぐれ」作:藤沢周平  人の世の忍従。方やに喜びに湧く笑顔あれば、こちらには苦境に泣く人あり。地上に勝者と敗者があるのは道理。人様のお蔭さまでこの世は回る。日のあたる場所にいて輝く人あれば、草葉の陰に身を隠し耐える人がいる。いつの時代にもあることだろう。 人として生きる矜持。それは自分が陽だまりの樹となって、周りの人々に安らかな…

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「青春の河を越え、いい男は大人になる。」

☆文春文庫いい男感想文「青年は荒野をめざす」  ひとりで行くんだ幸せに背を向けて、  さらば恋人よなつかしい歌よ友よ…  これは、五木寛之作詞、加藤和彦作曲、フォークソング「青年は荒野をめざす」の一節だ。一方小説の主人公ジュンは、ジャズのトランペッターだ。彼は高校を卒業した次の年の春、横浜の港からナホトカへ向けた船に乗り、…

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仕事と自己愛について

   二十歳の成人式を済ませてまもなく、じぶんは病気になって学校を中退した。だから新卒社会人というものには、なれなかった。そして若い頃に10種類以上の職場を経験した。就職、仕事、働く、役(やく)を貰う、お勤め…。高校生から大学入試の頃、自分の「天命」ってなんだろうとか漠然と考えていた。好きな事でメシを食べるのだとか、中学生の頃からよく…

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「アメリカひじき/火垂るの墓」(新潮文庫)

 省線三宮駅構内浜側の、化粧タイル剥げ落ちコンクリートむき出しの柱に、背中まるめてもたれかかり、床に尻をつき、両脚まっすぐ投げ出して、さんざ陽に灼かれ、一月近く体を洗わぬのに、清太の痩せこけた頬の色は、ただ青白く沈んでいて、夜になれば昂ぶる心のおごりか、山賊の如くかがり火焚き声高にののしる男のシルエットをながめ、朝には何事もなかった…

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昔の文学少女が薦める、青春もの古典・スタンダード(ドイツ文学編)

車輪の下(ヘルマン・ヘッセ)車輪の下で (光文社古典新訳文庫)光文社 ヘッセ Amazonアソシエイト by ウェブリブログ  周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの…

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赤ひげ診療譚(あかひげしんりょうたん)

 文庫本の惹句より:   ~幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登(やすもと のぼる)は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長、新出去定(にいで きょじょう)に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧(もうまい)な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く(ことごとく)赤ひげに反抗するが、そ…

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“うつな気分”がだんだん晴れる本

目次:はじめに 第一章 「こころ」の黄色信号  “うつ”のさまざまな顔  憂さはどうすれば晴れるのか  まず“うつ”を知れ  ストレスの感じ方には個人差がある  最大のストレスは「離別」と「孤独」  考えすぎは禁物  自分にやさしく、他人に厳しくなれ  ときには人に頼ってもいい  「タイプA」は人生をひたすら突っ走る…

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「潮騒」 作:三島由紀夫  新潮文庫

~歌島は人口千四百、周囲一里に充たない小島である。~    これは、この小説の冒頭の一節です。昭和五十年にこの「文芸物作品」とも呼ばれる「潮騒/しおさい」の映画が当時は、山口百恵の主演で制作され上映されました。彼女の初々しい海女さんのいでたちは、清純で鮮烈、衝撃的な映像であった記憶があります。新治は、それ程裕福とは言えない漁師の家の…

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「考えるヒント」小林秀雄 文春文庫

<もくじ> 1.考えるヒント:  常識・プラトンの「国家」・井伏君の「貸間あり」・読者・漫画・良心・歴史・言葉・役者ヒットラーと悪魔・平家物語・ブルターク英雄伝・福沢諭吉 2.四季:  人形・樅の木・天の橋立・お月見・季・踊り・スランプ・さくら批評・見物人・青年と老年・花見 3.ネヴァ河 4.ソヴェットの旅  本評論集…

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本の紹介/「ベッドタイムアイズ」 山田詠美 

 スプーンと呼ばれる黒人兵と、日本人の少女キム。肉の歓びが魂の愛に変わるとき、突然訪れる永遠のわかれ、めくるめく、メイクラブとピュアな愛に色どられた彼らの出会いから別れ。かつてない、言語感覚で描き出した新しいソウル小説。  作者は、1959年東京生まれ。明治大学文学部を中退。本書の「ベッドタイムアイズ」は、処女作にしてデビュー作品…

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小説「宮本武蔵」が生まれるまで

 吉川英治の書いた小説「宮本武蔵」は、昭和16年、日本の太平洋戦争突入の少し前、それでも軍靴の音高かった、昭和10年から14年にかけて朝日新聞に連載をされた作品であった。明治半ばに父が経済的に没落をした家に生まれた吉川英治は苦学して、物書きの道へ入った。大正14年頃のことである。そして「宮本武蔵」の執筆が彼の作家としての地位を決定づける…

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父の日によせて

 生きていれば、来年八十歳を迎える私の父は、いわゆる昭和ヒトケタと呼ばれる時代の人だ。終戦の昭和二十年には十五歳の中学生であった。長兄は南方へ戦争に行った。次兄は招集を免れるために他家に養子に出された。三男の父は、その父から戦争へ行く志願書を書くようにと十五の誕生日に言われたそうだ。これは父の葬儀の時にその姉から聞いた話である。それはま…

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ベター・ハーフの婚活術

 「馬には乗ってみよ 人には添うてみよ」は昔からある言葉。better half とは例えば「うちのかみさん」「私の愛妻」なんて意味で使う言葉。better half (=より良き半分)とは、神様が人間を生み出す時、本来二つで一つだったものを半分に分けて、この世に送り出した。人が生れ落ちた時は、まだ片方だけで、この世のどこかにその片…

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FHLMのローマ字恋占い

   昔、高校の英単語参考書(ページ欄外)に付いていたおまけコーナーの遊びに、次のような恋占いがあった。 KANTOTARO(関東太郎)NANIWAHANAKO(浪速花子) F…(Friend)フレンド・ただのお友だち H…(Hate)ヘイト・嫌い L…(Love)ラブ・好き M…(Marry)マリィ・結婚してもいい …

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「私家版、長編推理小説の創作法」

 以前に、原稿用紙360枚の推理小説を書いて投稿したことがあった。その時、参考にして試みた事柄があった。フランスの推理小説家で、「メグレ警視」シリーズで有名なジョルジュ・シムノンが、何かの本に書いていた方法をヒントにしたもの。何しろこの作家はかつて多作、多売で知られ、四百冊以上の著作があり、世界で聖書の次に本をたくさん売ったとか云わ…

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あとみよそわか…、幸田露伴のしつけ

 明治の文豪である幸田露伴(こうだ ろはん)とその娘である文(あや)のお話。文は幼い頃に生母を亡くし、父露伴は後添えをむかえたが、継母は学はあるが、家事・躾けには無放任な人であった。そのため父露伴が娘文に家事一般の躾けを教え込んだ。「あとみよそわか」とは、父娘が掃除の仕方の稽古をしていた時に露伴の口から出た言葉である。掃除の勉強第一日目…

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古き良きアメリカン・カルチャー、ノーマン・ロックウェルの絵

 二十年程前に、自分はとあるステーキ屋さんで、ウェイトレスの仕事をしていた。その店にはなんとも微笑ましい、イラストの様な絵画の複製が何枚も飾られていた。人に聞くと、それは銀座にも店があるというそのステーキ屋さんの社長の趣味なのだと教えられた。私とノーマン・ロックウェルの絵の出会いだった。無邪気な子供のあどけないしぐさや、お年寄りや日常の…

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松本清張生誕100年

 今年は、太宰治と松本清張の生誕100年にあたる年だという。太宰治が青春文学なら、松本清張は社会派推理ということで大人のエンターテイメントと云えるだろう。太宰治は戦後の昭和23年に39歳という若さでこの世を去ったのに対して、松本清張は、42歳で小説家デビューし、1992年82歳まで生きた。松本清張の小説で私のお勧めは、『或る「小倉日記」…

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戦後のベスト・セラー“学園小説”「青い山脈」

 昭和22年、新聞紙面に発表になると、多くの一般市民に歓迎されベスト・セラーとなり、その後何度も映画化をされた小説、それが「青い山脈」だ。古くは伝説の映画女優である原節子が演じ、昭和の経済成長期には、今も一線で活躍をする吉永小百合さんなどが演じ、映画にテレビにと再三リメイクされた。  原作者の石坂洋次郎は青森県出身の元教員。他にも「陽…

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オーディオ・ブック

 約束 (新潮CD 山田洋次が選ぶ藤沢周平傑作選)というオーディオ・ブックを持っている。 ステレオ・ヘッドフォンの携帯装置に入れて寝床で聴く。何度も聴く。何度聴いても泣ける。時代小説家、藤沢周平の傑作短編集「橋ものがたり」の本の冒頭に掲載されている「約束」という作品を、倍賞千恵子さんが一人で朗読している。松竹の看板女優であり、男は…

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言葉を磨きたい…。

漢字百話 (中公新書 (500))中央公論新社 白川 静 Amazonアソシエイト by ウェブリブログ  NHK教育テレビ「知るを楽しむ」でもやっていた、漢字の碩学である白川静さんの本。漢字は、表意文字で象形文字でもある。その成り立ちを知ることは、漢字の習得を易しくする。とかく“言葉”の扱いは難しい。ウェッブ・ログ(ブログ)…

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曽我梅林

 小田原の梅の名所、下曽我の梅林では今お祭りをやっている。写真は主に別所梅林の会場で撮影したもの。  近くにある城前寺は、歴史・文学にゆかりのある場所だ。歌舞伎でも演じられる曽我の十郎・五郎兄弟の仇討ち話は、鎌倉の昔にさかのぼる。境内で五月に行われる傘焼き祭りはその曽我兄弟の仇討ちにちなんだものだ。  城前寺からすこし行ったところに…

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学生時代に読んだ本、「エミール」ルソー

「ミミレドド、レレミレド、ソソファミミ、レドレミド」 ♪~(むすんで、ひらいて、てをうって、むすんで)~  この曲、実はルソーが編み出した音楽新記譜法による楽譜に記載があると言われます。自分が本書を読んだのは20才の夏休み、大学の授業に提出する感想文を書くためでした。  1789年「火縄くすぶる=フランス革命」って、語呂合わせ…

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「不思議な事があるものだ」宇野千代 中公文庫

 自分の思ふことがそのまま信じられる、と思ふと、日にまし、仕事が面白くなり、仕事が日ましに上手になり、何と言ふ私は仕合せなもの…十六歳の少女の幸運な成り行きを描く表題作。最晩年の短編六篇、単行本未収録の随筆五篇と旧作四篇を収録。九十八歳で天寿を全うした宇野千代の文学の極点を示す。 (裏表紙の紹介文より) 収録作品のもくじ  「…

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「絵のない絵本」のこと

 デンマークの童話作家アンデルセンのこと。今、わたしの手元にあるのは、串田孫一氏のカバーが印象的な、新潮文庫の「絵のない絵本」。矢崎源九郎訳、140円。昭和27年発行で、自分が購入したのは昭和54年48刷となっている。十九歳の頃に読んだ事になる。文庫本でありさらに超薄い、小さな本だ。これを心が弱っている時に読んだら、泣けた記憶がある…

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神田古本屋さんが作ったウェッブ・サイト

 本との出会いは、人との出会いに似ていると昔から思っていた。自分に合った良い本を手にした時、読了した時の満足感や感慨などがそうだ。その時手にする本とは、一期一会の様だといつも思う。自分が貧乏性なこともあるかな…。少なくとも若い頃はずっとそう思っていた。  ところで、大学の先生などが著す学問的な本は値段が高い。中身もそれなりに難しい。で…

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