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zoom RSS 男の純潔、牧文四郎

<<   作成日時 : 2009/08/27 09:22   >>

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「蝉しぐれ」作:藤沢周平
 人の世の忍従。方やに喜びに湧く笑顔あれば、こちらには苦境に泣く人あり。地上に勝者と敗者があるのは道理。人様のお蔭さまでこの世は回る。日のあたる場所にいて輝く人あれば、草葉の陰に身を隠し耐える人がいる。いつの時代にもあることだろう。
人として生きる矜持。それは自分が陽だまりの樹となって、周りの人々に安らかな木陰を提供できる人となる生き方。たとえて言えば牧文四郎とはそういう人だ。
 物語の始まりに、青年が大人へと成長をとげる季節に、本書の「朝の蛇」と父親の遺骸を乗せた車を押す場面はある種、象徴的な出来事だ。子が親からもたらされた境遇を受け入れて生きるとは、たとえそれが子にとっての苦境であっても、ありのままの姿であり、人生の全体像から見れば自然の流れとして当たり前のことなのだ。人生の苦さは忍耐とともに味わって本当の意味が分かる。人は涙みせずに大人になれない。人の世の不条理に耐えても汚れない潔い生き方。それが牧文四郎の姿だ。
 この世に、蛇の様に人の心を惑わすものがある。例えば政治の裏表、男女の恋心の微妙な綾の様なもの。青年はその朝、清冽に蛇の禍から少女を救ってあげた。文四郎の彼女に対するその純潔さは、女が剃髪するまで続く。大人になる入り口で青年の季節に抱いた想いのままで、二人はその後ただそれぞれの自分の運命を生きた。自分の分を守って、自分の天のさだめに従って…。もう子供ではない人生の本当の大人として再会をした時に、歳月のなんと哀惜に満ちたことだろう。二人が織りなす人生の綾の中で、文四郎はおのれの真心を信じて生きた。大人としてはただそれだけのこと。彼の純潔な気持ちだけが、いつまでも清々しい。
蝉しぐれ (文春文庫)
文芸春秋
藤沢 周平

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タイトル (本文) ブログ名/日時
「青春の河を越え、いい男は大人になる。」
☆文春文庫いい男感想文「青年は荒野をめざす」 ...続きを見る
沙菜子の本マルシェ
2014/11/24 13:47
「時代に呼ばれた男の輝き」
☆(読書感想文:「竜馬がゆく」を読んで…)  人として生まれ、若き日に抱く立志。幕末の英傑である坂本龍馬は、カッコいい男の代名詞である。  「薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ竜馬一人がやったことさ」と勝海舟に言わしめた剛腹な男。人の才とはなんだろう。竜馬が勝海舟と巡り会ったそのきっかけは、竜馬が勝を切りに行ったことに始まる。そこで竜馬は開眼して逆に勝海舟に師事してしまう。一期一会の人との出会いの中で、そこで自身の才を生かす道を見つけてしまう。人の才とはそうしたものなのかもしれない。い... ...続きを見る
沙菜子の本マルシェ
2014/11/24 14:00
沙菜子の本マルシェ “こころ”ログ (記事集)
聖橋にて…(檸檬) http://36sanako.at.webry.info/200806/article_1.html ...続きを見る
沙菜子の本マルシェ
2016/01/26 08:43

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